介護・建築の外国人技能実習生に関する情報を発信します
2022.06.10
特定技能のメリット・デメリットってどんなもの?
2019年4月から導入された在留資格である特定技能。
従来の技能実習生と何が違うのか、自分の会社にはどちらがあっているか、迷われている方も多いのではないでしょうか?今回は、特定技能にクローズアップし、その目的を踏まえながら、受け入れる側としてのメリット・デメリットを解説していきます!
特定技能とは?
特定技能は、技能実習制度がスタートした2年後の2019年に導入された在留資格です。開発途上国等への経済発展を促す国際貢献が目的の技能実習に対して、特定技能は日本国内における深刻な人手不足に対応する手段、つまり労働力の確保が目的の制度です。現在では特に人材不足が懸念されている介護業界をはじめ、14の特定産業分野で導入されています。
技能実習生とは?
技能実習生は2016年11月に公布され、翌年11月に施行された外国人技能実習制度により受け入れが開始されました。技能実習制度の目的は一言でいうと国際貢献です。来日した開発途上国等の人々に仕事を通して日本の技能や技術、知識を学んでもらい、習得したそれらの技能を母国へ広く伝えてもらうという、「人づくり」に協力することを目的としています。
特定技能のメリット
特定技能を受け入れることのメリットは主に以下の6つが挙げられます。
1.人材不足を補うことができる
2.雇用人数の制限がないため状況にあわせて雇用できる
3.即戦力の確保が期待できる
4.受け入れ時の申請作業が少ない
5.受け入れ後の法的制約が少ない
6.配属までのコストが安い
では項目ごとに解説していきます。
1 人材不足を補うことができる
特定技能の最大のメリットは、人手不足を解消し労働力を確保することができることです。
国際貢献が目的の技能実習とは異なり、特定技能は日本国内の人材不足を補うことが目的です。正社員として雇用することができるため、「求人を出してもなかなか人が集まらない」「現場の人手不足が原因で労働環境が悪化し離職が進み、悪循環に陥っている」などの深刻な状況を外国人労働者の力によって打開することが期待できます。
2 雇用人数の制限がないため状況にあわせて雇用できる(介護・建築は除く)
技能を教え伝えることが目的の技能実習の場合、適切に指導ができるように受け入れ人数に制限が設けられています。一方で特定技能の場合には人材不足を補うことが目的のため、介護・建築を除き、受け入れ人数に制限がありません。自分の会社の状況にあわせて採用人数を決めることができます。また、単純作業の仕事も対象にできるのも特徴です。しかし、あくまで「生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材確保が難しい14の産業分野」という制限があります。自分の会社の業界があてはまるかどうか、事前に確認するようにしましょう。
3 即戦力の確保が期待できる
特定技能として働く外国人は、日本で働くうえで必要な知識や経験を持つ人だけが対象となっています。習得している技能や日本語の能力を試験で確認することもあります。つまり、受け入れ企業は一定の専門性と技能を持った即戦力としての人材を確保することができるというわけです。日本語や技術を一から教える必要がないため、初めて外国人を雇う企業にとっては受け入れやすいというメリットもあります。
4 受け入れ時の申請作業が少ない
特定技能を受け入れる際、受け入れ企業が自ら特定技能外国人を対象にした採用活動をおこない、直接雇用契約を締結し、出入国管理庁に在留資格を申請することができます。監理団体や技能実習機構等特定技能と連携する技能実習に比べて比較的シンプルです。ただし、実際には政府が定めている受入基準に適合しているかの確認や、特定技能外国人に定着してもらうための支援体制をつくり、支援計画書の作成も必要になります。詳細は法務局のHPに案内がありますが、理解しにくかったりなかなか時間が取れない場合もあるでしょう。そのようなときは当社にご連絡ください。
5 受け入れ後の法的制約が少ない
特定技能外国人の受け入れ後は、技能実習ほどの法的な制約がないというメリットもあります。制約が少ないとはいえ、受け入れ時に作成した特定技能外国人支援計画書は四半期毎に実施状況を入国管理局へ届け出る必要があります。もちろん変更があればその届出も必要です。また、ビザの更新も忘れてはなりません。1日でも過ぎるとオーバーステイとなってしまうため注意が必要です。また、特定技能1号の場合の在留期限は5年までと定められています。在留期限にあわせた対応が求められます。
6 配属までのコストが安い
技能実習制度を利用するには監理団体や技能実習機構等と連携しながら、煩雑な手続きや申請作業をおこなう必要があり、その分のコストがかかります。しかし、特定技能では手間はかかりますが自社で対応することもでき、このような費用負担を軽減することができます。
特定技能のデメリット
特定技能を受け入れるにはたくさんのメリットもありますが、注意すべきこともあります。事前にどんなデメリットがあるのか把握し、判断するようにしましょう。
1.転職されてしまう可能性がある
2.雇用期間は最長5年
3.日本人と同等の労働条件及び報酬が必要
4.候補者が集めにくい
1 転職されてしまう可能性がある
特定技能として働く外国人労働者は、同業界内であれば転職することができます。特定技能のそもそもの目的が国際貢献ではなく、日本国内の人材不足の解消にあるからです。そのため、賃金や人間関係、労働環境などより良い条件を求めて転職されてしまうリスクがあることは念頭に置いておかなければなりません。働きやすい環境を整え、仕事はもちろん精神的なサポートを継続的におこなうことは、働く特定技能外国人にとってはもちろん、継続的に働いてもらうという意味で受け入れる企業側にとっても重要なポイントです。
2 雇用期間は最長5年
特定技能には1号と2号の種類があり、2号業種でない限り最長5年で帰国しなければなりません。在留期間が特に設けられていない特定技能2号に移行することもできますが、業種が限られており、建設、造船・船用工業のみとなっています。技能実習生から特定技能への移行もできるため、制度をうまく組み合わせれば5年以上の滞在も可能になりますが、特定技能1号の場合には注意が必要です。
特定技能1号と2号の違いは以下のとおりです。
<特定技能1号>
対象産業分野:定められた14分野
在留期間:1年、6か月又は4か月ごとに更新し、通算上限5年まで可
技能・日本語能力:試験等で確認
※ただし、技能実習2号を修了した外国人は試験等は免除となります。
家族の帯同:原則認めない
支援:受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象となる
<特定技能2号>
特定技能1号を経た人が移行できる特定技能2号は、特に熟練した技能が必要な業務に従事する外国人向けの在留資格です。
対象産業分野:建設、造船・舶用工業の2分野のみ
在留期間:3年,1年又は6か月ごとの更新(実質無期限)
技能・日本語能力:技能は試験等で確認、日本語能力については試験等での確認は不要
家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者,子)
支援:受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外となる
3 日本人と同等の労働条件及び報酬が必要
特定技能では原則として一部、派遣会社からの受け入れも可能な農業と漁業の分野をのぞいて、正社員として直接雇用することとなります。そのうえで、賃金等の条件をすりあわせする必要があります。誤解されることが多いのですが、特定技能制度は安価に労働力を確保するということが目的の在留資格ではありません。あくまで、労働不足を解消するための在留資格のため、特定技能で外国人を雇用する場合、同じ会社で働く同等の経験を持つ日本人と同じ、あるいはそれ以上の条件で雇用する必要があります。
4 候補者が集めにくい
特定技能は、日本語の試験や技能試験をクリアした人たちのため、企業側にとっては最初から優秀な人材の確保が可能というメリットがあります。しかし、その分候補者が少ないという現状もあります。日本語が堪能でも自社が求める技能を持ち合わせていない、あるいは技能をもっていても条件のより良い同行他社へ人材が流れてしまう、など候補者の集めにくさがあるのも事実です。
技能実習と特定技能の違いまとめ
日本の技術を開発途上国に伝えることが目的の「技能実習」、日本の人材不足解消が目的の「特定技能」。同じ在留資格ではあるもののその目的が大きく異なるため、就業可能な業種や職種、家族滞在の可否、受け入れ人数も異なることを解説してきました。
今回は、特定技能外国人を採用する際のメリットやデメリットについて解説してきました。在留期限が5年と定められていたり、候補者が集めにくいなどのデメリットがありながらも、うまく採用が進めば人材不足が緩和される上に優秀な人材の確保ができるなど大きなメリットもあります。制度の難しさや煩雑さはありますが、ぜひこの機会に外国人人材の雇用を検討し、業務の効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
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