介護・建築の外国人技能実習生に関する情報を発信します
2022.08.18
外国人技能実習制度って何?わかりやすく解説
ニュースで見聞きすることはあるものの「技能実習制度の仕組みがいまいち分からない」「実際の技能実習生ってどんな人たち?」と思う人も多いのではないでしょうか。外国人技能実習制度の基本と受け入れを検討するにあたって知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
外国人技能実習制度ってそもそもどんな制度?
外国人技能実習制度は、簡単にいうと開発途上の地域に暮らす人たちに日本の技術を教えるための、国際貢献・国際協力を目的とした制度です。もともとは1960年代後半あたりから海外の現地法人が社員教育としておこなっていた研修制度が発端といわれ、1993年に制度化されました。
しかし当初は、就労ではなく研修ということで、現場で雇用され実際に働くことはできませんでした。その状況が変わったのが2009年の入管法改正です。日本に滞在するための在留資格として「技能実習」が設けられ、技能実習生も直接雇用されることで日本の労働基準法の対象となって、働くことができるようになりました。
現在ではたくさんの実習生たちが日本へ来て、実際の現場で日本人スタッフたちと一緒に働きながら、仕事のノウハウや技術を学んでいます。実習生たちは帰国したあと、日本で身につけた技術や能力を活かして母国で働き、その国の経済の発展に貢献していくということになります。
また、技能実習がきちんとおこなわれるための「技能実習法」という法律が2017年にできました。単なる人材不足の解消として利用してはならないなど、母国を遠く離れて日本で働く技能実習生を守るための法律となっています。
技能実習生たちにはどんな人がいるの?
2021年末時点での技能実習生の数は27万6000人ほどです。コロナ禍による入国制限等で近年は減少傾向にありますが、2018年までは右肩あがりで増えていました。入国制限で待機している人たちを考えれば、今後も再び増えていくと見られています。
日本に技能実習生として来ている外国人人材の割合で1番多いのはベトナム国籍、次いで中国、3番目にフィリピンの人たちです。
ちなみに、日本ケアビジネス協同組合は、モンゴル国立医学大学看護学校と提携していることもあり、モンゴルからの実習生たちの受け入れが盛んです。
相撲をはじめとしたスポーツ交流も盛んなモンゴルと日本は、1972年に外交関係が結ばれ、今年で50周年を迎えています。同じアジア人としての親しみやすさや勤勉さもあり、実際に技能実習生を採用した受け入れ企業様からも好評です。
技能実習生は何年日本で働けるの?
技能実習には1号、2号、3号という種類があります。1号とは技能実習1年目を指し、2号は2年、3年目、3号は4年、5年目を指します。
それぞれの号に移行するには進級テストのような試験があり、それに合格する必要があります。
つまり、技能実習生としては最長で5年間、日本に在留することができます。ただし、技能実習3号を受け入れられる企業は、基準に達していると認められた実習実施者や監理団体に限られています。
技能実習生が働ける職種は?
実習期間が原則1年の技能実習1号の場合、実習可能な対象職種に制限はありません。しかし、あくまで技能を教えることが外国人技能実習制度の目的であるため、単なる人材不足を補うための単純作業は認められていません。
また、技能実習1号から技能実習2号に移行できる職種には制限があるので、2年目以上の移行を念頭に置いている場合には注意が必要です。
2022年4月現在で2号に移行することを認められている「移行対象職種」は、農業関係や漁業関係、建築や食品製造、介護など、86職種158作業となっています。職種はもちろん、仕事内容も細かく決められているためあらかじめ確認するようにしましょう。
企業が技能実習生を受け入れる人数に制限はある?
技能実習生が適正に実習を受けられ労働できるように、企業が採用できる技能実習生の数にはそれぞれの常勤職員総数に応じて上限が定められています。
例えば監理団体を通して初めて実習生を受け入れる場合、常勤職員数が30人以下では技能実習生3人を受け入れることができます。
実習生の受け入れ2年目となり、1号の実習生が2号に移行した場合は、基本人数枠の2倍の6人を受け入れることが可能です。
また、3年目にはまた新たに3人を採用し、最大で合計9人の技能実習生を雇用することができます。
自分の会社の場合には何名まで受け入れが可能なのか事前にしっかり把握することが大切です。
外国人技能実習生の雇用を検討する際の注意点は?
①外国人技能実習制度の理念を理解する
技能実習法にも記載されているとおり、外国人技能実習制度は発展途上国の人づくりに対する国際貢献を目的にしたもので、日本の人手不足を解消することが目的ではありません。その点を誤解したまま技能実習生の雇用を検討すると、思うような結果が得られないので注意が必要です。
②自分で手続きをするか、監理団体に依頼するかを決める
技能実習生を受け入れる方法としては企業が直接手続きをする「企業単独型」と、監理団体に依頼をする「団体監理型」の2パターンがあります。
しかし実際には手続きなどが煩雑なため、自社でおこなうのではなく、監理団体に委託する企業がほとんどです。多くの監理団体があるので、依頼する際にはきちんとした団体かを見極める必要があります。
技能実習制度に関する法律をきちんと理解し、守っているか、費用は適正か、実習生へ日本語教育をしっかりおこなっているか、実習生への相談対応やフォローを丁寧におこなっているかなど、事前にしっかり確認するようにしましょう。
<監理団体とは>
外国人技能実習生を受け入れ企業に紹介する団体です。紹介のほか、受け入れ企業がおこなう技能実習計画作成へのアドバイスをしたり、技能実習生に対して母国語でのサポートをしたりと、さまざまな役割があります。
監理団体として活動するには、要件を満たし、主務大臣の許可が必要です。
また、監理団体には「一般」と「特定」の2種類があります。
言葉の印象としてはなんとなく「特定」とされていたほうが良いように思えますが、実際には「一般監理団体」の方が優良と認められた団体です。
一般の場合には技能実習生の第1号から第3号まで、つまり最長5年での対応が可能です。一方で特定監理団体の場合、第1号と第2号のみなので最長3年までの実習期間の対応となります。3年という期間だと職種によっては仕事をやっと覚えた頃に帰国となってしまうという場合もあります。5年という期間でじっくり技術を指導していきたいという受け入れ企業の考えがある場合には、一般監理団体に依頼をするほうが良いでしょう。
③技能実習計画をたてる
技能実習生の採用・雇用にあたっては受け入れ企業が技能実習生ごとに技能実習計画をたて、主務大臣に認められなければなりません。実習内容の目標や内容、技能の評価、実習にあたっての体制、実習生への待遇等、定められた基準にそって、細かく決めていく必要があります。実習計画は第1号、第2号及び第3号の区分ごとの認定も必要です。
監理団体に依頼をしている場合には、監理団体の指導にそって作成します。また、認定を受けた後、その基準を満たさなくなった場合や計画通りに技能実習がおこなわれていない場合には、実習認定が取り消されることもあります。
外国人技能実習制度まとめ
外国人技能実習制度は発展途上国出身の人たちに技能を教えるという国際貢献が目的の制度ではありますが、一方で技能実習生たちに日本の労働力を支えてもらうという互いのメリットを見据えた制度でもあります。
実習生たちにとっても、受け入れる日本企業にとっても、双方が良い関係でいられるためには、監理団体をはじめ受け入れ側がしっかりと法令を守り、適正に制度を利用していく心構えが重要です。
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